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そして、かつての大怪盗の横には、コートに身を包んだ怪しい風体の男が一人いた。
「あら、あなたも来てたのね?」
ルビーとラルフの態度からして、この男は結構前からの知り合いらしい。
「お前が新入りのロイドか…。ふん…まあまあってとこか?まあ、そんなことよりお前たちに今回のターゲットの情報を持ってきてやったぜ。」
そういうと、懐からメモと写真を取り出した。
いかにも…な雰囲気の小太りの男だ。
「こいつの名は、ライネル・ホットウェル。ここ最近勢力を伸ばしているスリ団のボスだ。」
「なるほど。」
「だが、いきなりお前さんたちに戦わせるにゃ、ちと荷が重過ぎる。そこで、今回はこいつの手下から仕事道具を奪ってくるんだ。どういう風に実行するかは、お前さんたちで決めてくれ。」
「怪盗の基本は盗みを行う事じゃ。ロイド、お前さんにとってはこれが初仕事じゃ。気を引き締めていくんじゃぞ。」
「じいや、質問があるが…。」
「ふむ、どうしたのじゃ?」
「今回のターゲット、スリ団でしたよね?どうして悪人相手に?」
「いい質問じゃのぅ。わしは、仕事をする時には悪人に対して行う主義だったのじゃ。いわゆる、義賊じゃ。善人には一切手を出さん。」
なるほどな…。
「ジイさんが行く所にゃ、必ず迷宮入り寸前の難事件が待っているし、法では裁けない悪人たちがいるのさ。そして、陰でそいつらをやっつけるってのが、またすっきりするんだよな。」
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