パパはロボット

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  しかしそんな温かい日々も長くは続かなかった。 パパが来て三ヶ月が経ったある日―― 「しかし笑わないなあ。壊れてんのかしら?」 パパの顔を覗き込んでチーちゃんが言った。 「死んだパパだって滅多に笑わなかったよ」 ソファに寝転んで漫画を読みながらマー君が答えた。 「チーちゃん、新聞取ってくれ」 パパが言った。 「また新聞? 新聞新聞ってそれしか知らないの?」 「死んだパパもそれくらいしか言わなかったよ。取ってやりなよ」 「じゃあ、あんたが取りなよ。漫画ばっかり読んで偉そうに言うんじゃないわよ」 「チー姉が頼まれたんだろ? 取ってやりなよ」 「チッ、ほれ新聞」 チーちゃんはパパに新聞を投げつけた。 それを見ていたママは堪らずチーちゃんを叱り付けた。 「チーちゃん、あんた何してんのよ! パパに投げつけたりなんかして!」 「何がパパよ! ただのロボットじゃん!」 「これっ!」 「マー姉、それ言っちゃ駄目だよ!」 「何よ! 大体、ロボットになんで人間が使われなきゃいけないのさ!」 パパの映像が乱れた。 「パパ、大丈夫? ごめんなさいね。気にしないで」 ママはパパのボディを優しく撫でた。 「少し疲れたみたいだ。電源落としてくれないか?」 「パパ…」 「チー姉、パパに謝りなよ!」 チーちゃんは振り向きもせずに自分の部屋に入って行った。 「いいんだ。マー君。チーちゃんは悪くない。暫く電源を落としてくれればそれでいいんだ」 「パパ…」 ママは涙を堪えながらパパの電源を落とした。  
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