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始まりは石でつくられた牢屋。
手枷に足枷、ぼろぼろの服の間から見えるいくつもの傷痕が痛々しさを醸し出している男は、長く黒い髪の隙間から見える暗い青色の瞳で、鉄格子のはめられた窓から空を見上げる。
蒼く、蒼く、どこまでも晴れているように見える空を見て、男は左手の人差し指で自分の無精髭が生えている左頬を掻いた。
「リースブルーか・・・」
リースブルー・・・男はその色なのかよくわからない名を口走ると、黙り込む。
蒼い、ただ蒼く広い空を見上げて―
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