第一章 人の混沌

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男は平常心を取り戻すと、次にここがどこかが気になりはじめた。 冷たい床に、埃っぽい感じ、しかも硬くて灰色の世界。 先程までいた牢屋と似てはいるが、男には違いすぎるように見えた。 「これでよし。髭も剃れたし、中々美形じゃない。世の女を騙す顔ね」 「どういう意味だ。というかここはどこだ」 少女は少し考え込むそぶりを見せると、杖でハサミを砕いた。男の髭もハサミで切ったのだろうか。
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