序章

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ナジェン国のマルロー公爵 令嬢メイティーアと アニバール国のロードカム 伯爵レオナールは、 このたび、めでたく 華燭の典を執り行った。 二人の婚約は、もう 五十年も前に交わされた ものだった。と言うのも、 もとはと言えば、 今から二代前に、両国の 友好関係強化のために 貴族同士の婚姻が 計画されていたのだ。が、 直前でロードカム家に 不都合が生じ、次代に 先送りすることとなった。 しかし、その代には 両家とも男の子しか 誕生せず、泣く泣くさらに 次代に先送り。そして その結果、実現したのが この二人の結婚だった。 だが婚約時代の関係は 山あり谷ありだった。 なにしろ一時は約束自体を 白紙にする直前まで こじれていたのだから。 しかし、レオナールが 馬を走らせ、ナジェンの都 リカに駆け付け、改めて メイティーアに求婚し 結局もとの鞘に収まった。 まあ、そのあたりの 詳しい事情については ぜひ『約束のヒト』を お読みいただきたい。 政略結婚において 類い稀なる幸運、つまり 愛を手に入れた二人は、 初夜もつつがなく過ごし 一日の休養をはさんで これから領地視察と称した 新婚旅行に出掛ける。 結婚はゴールではない。 大いなる始まりなのだ。 新たな段階に入った二人の 関係はどうなるのだろう? こっそり覗いてみよう。
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