陰謀

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「ああそうだ。あの事件は結局運転手の居眠り運転による事故と片づけられたが、実は車に細工をし、GPSにより起動させあの場所で車のハンドルとブレーキの操作を出来なくしたんだ。そして彼は死んだ」 ジファー長官の眼がとても鋭く光っている。 「そ、そんな。しかし、なぜ彼を殺す必要があったんだい?」 グリーマン大統領はさっきよりもさらに驚いた顔を見せていた。 「当時、クリーク上院議員は議会で、政府が進めていた北アフリカの軍事政権国家への侵攻計画への反対法案を提出したんだ。内容は、『これは、ただの石油利権を得るための口実に過ぎない。即刻中止し、国連の判断にまかせるべきだ』というものだった」 「私もそれは覚えているよ」 ジファー長官は強い口調で続けた。 「政府はもちろんそんな法案を出されても無視して、侵攻を続行するつもりだったんだ。しかし、クリーク上院議員は世論を巻き込んで大規模なキャンペーンを計画していた。世論を使われては、ヤバいと感じた政府は私たち、CIAに情報収集を命じた。すると彼がその軍事国家と国交のあるドイツの石油会社と繋がりがあり、賄賂による癒着があると分かったんだ」 「それで、都合も悪く追放する理由も出来たから政府がCIAに暗殺を命じたのかい。それならかなり理不尽すぎるぞ」 「いや。それだけではなかったんだ」
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