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夏休みもあと数日とせまった八月下旬。
斎藤が来たその日に、すでに二度沖田を発狂させている。
当時子供好きの沖田ほどいたずらに長けた組長はいないと噂されていた新撰組内で、ルーキーが現れたのは言うまでもなかった。才能が隠れるはずがない。
「もう嫌です」
さんざんライトサーベルで斎藤を切り刻んだ後も、ダークフォースが染み出すことを止められない沖田が、次は落ち着きを取り戻したいと哀願していた。
「私の単衣をすべて桃色と橙に染め上げたり、勤務中に坂の上から米俵をころがしてきたり、挙げ句私の小柄の持ち手に×××××と書き込む悪い奴なんですよ……」
絵に描いたような落ち込み具合にケラケラ笑えたのはこの場に斎藤ただひとりだったが、だいぶ年を召したジジイのする事でもないとハルカは呆れてこの日床についた。
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