613人が本棚に入れています
本棚に追加
「斉藤さんこそ」
「うん。寝らんなくってー」
カラカラとグラスに当たる氷の音が子気味がいい。
「あのさ……総が咳込んでるのって、毎日?」
突然真剣になる斉藤。
「でしょうね。俺の前じゃ我慢してるみたいなんですが」
「隠してるんだ」
でしょうね、とまた同じ返答をハルカ。
「そっか……末期の労咳患者の咳だよ。辛い状態をひきずってよくまぁ線香あげに行こうと思ったもんだよね」
墓から出てきて咳をぶり返してたら普通は諦めるだろうとは斉藤の意見。
最初のコメントを投稿しよう!