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団扇でひらひら扇いでいた青年は口をポカンとあけたまま塞がらない。
不審者とおぼしき和装の男は、開口一番こう言ったのだ。自分のことが見えているのだろう?と。
訳の分からない言動に、少し戸惑う青年。
いきなり人の庭に現れて……もっとも、視線を庭に向けたらすでに居たのだが、珍妙な発言に閉口してしまった。
「ほら、何とか言いなさい。見えているのなら会話も出来ますでしょう?」
不審者はあぜんとして自分を見ているだけの態度にしびれを切らしてずんずん進んできた。
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