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手足の冷えと、体をつたい始めた汗が不快になってきた僕は、部屋に戻るとTシャツを着替えて靴下を履いた。
それからキッチンに行くと、珈琲をコップに移して氷を数個入れ、冷蔵庫にもたれ掛かりながら冷えたそれを一口飲んだ。冷蔵庫は地鳴りの様な音をたてている。僕は冷たい床の上に座り込んだ。
寒いのか、暑いのかわからなかった。
自分が異常なのか、ぎりぎり正常なのかもわからなかった。
誰も、主治医でさえも、僕の疑問には答えてくれない。
珈琲の入ったコップをクルクルと回すと、氷がカランカランと音をたてながら黒い液体に渦を作った。
眺めていると、その渦に僕自身までもが巻き込まれてしまいそうだった。
いや、もしかしたら、もうすでに飲み込まれているのかも知れないな。
僕はコップの中の黒く冷たい液体に向かって呟いた。
暖かい晴天ばかりじゃあ、人生つまらないだろう?と。
その僕の言葉に珈琲は、氷でカランと返事をした。
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