かすみ草

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知らなかった…。 本当に、知らなかった。 一番の親友だと思っていたのは私だけ? 友人が結婚するという。しかも、できちゃった婚。 私と彼女は短大からの付き合いなんだけど、とても気が合って、社会人になってからもメールしたり、最低でも二ヶ月に一回ぐらいは会っていた。 彼氏なんて、お互いにいなくて、付き合った経験も同じくゼロだったから… それすら、嘘だったのかと思ってしまう。 よく小説やドラマでは、素直に良かったね、なんて言っているシーンがあるけれど、あれは嘘。もしくは、演技に演技していると思う。 だって…素直に祝ってあげられない私がここにいるから。 こんなにも、醜い心を持っていたなんて思わなかった。私…こんなだから、恋人もいない。たぶん、親友という存在も…。 誰かにこんなこと言えるはずもなく、ただ隠すだけ。 「良かったね」 なんて心にもないことをメールで送ったのに、 「ありがとう。嬉しいよ」 なんてハートの絵文字いっぱいのメールで返ってきたものを、何度も見ては苦しくなる。 寂しい…寂しいんだと思う。 解っている。 解らないほどの年齢ではないから。 大人になる。 何もわからないまま、社会に出た私は、まだ子供のまま。 でも大人になるということが1番よく分かる形は、結婚というもの。 結婚というものは、中心におくものが違ってくるから、今までのように一緒に遊べないし、メールの頻度も減ると思うから…。 メールと言えば、私は彼女が彼氏がいるのではないかということは、薄々気づいていた。以前は、絵文字が無かったシンプルなメールだったのに、いつしかよく絵文字を使うようになり、メールの頻度も減っていたから。 それでも、結婚、しかも、デキ婚だとは…思うはずがない。 「結婚祝い、一緒に考えよう」 共通の友人の聡恵に誘われて、近くのショッピングセンターへ出掛けた。 まだ社会に出て、二年ぐらい、しかも正社員ではない私たちの給料では、あまり高いものは買えない。だから、聡恵と一緒に折半で買おうとなった。 いろいろと見ていると、うちの姪っ子を思い出した。 姪っ子はまだ生まれたばかりで、何故か叔母の私の小さい頃にそっくりで。 姪っ子なんて、血が繋がっていると言っても、自分の産んだ子供ではないから、そんなに愛しい存在にならないと思っていた。 でも…両親がいないせいか、血の繋がっている姪っ子が愛しい。
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