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姪っ子でこんな気持ちになるのだから、自分の子だとどんな気持ちになるのかしら。
「これにしようか」
聡恵と相談した結果、ギフト用のタオルセットというのに落ち着いた。
これが私たちの限界かもしれない。
のし紙に名前が書かれても、やはり祝ってあげられなくて、違和感を感じてしまう。
寂しいだけではない。女としての嫉妬があるから。
それを表に出してしまうわけにはいかない。
やはり私だけなのかしら…こんな醜い感情を持っているのは。
聡恵を見ていてもそんなそぶりは見せないし、本当に喜んでいるように見えるから。
はぁ~ため息が零れてしまう。
ため息でもつかないと、醜い感情が溜まってしまうから。
私と彼女は、本当に昔からの友人みたいに気が合っていた。趣味が似ていて、お互いに影響しあっていた。
だから…近すぎたから…こんな気持ちになるのかな…
笑顔は簡単に作れる。口先だけの祝いの言葉も言える。
でも気持ちは空回りで虚しい。
「今日、結婚祝いの品を買ったから、近いうちに会おう」
メールでもこんなことぐらいは打てる。
「ありがとう。今度の日曜日でもいい?」
彼女は知らない。私の気持ちなんて。知ってしまっても困るけれど、苦しい…。
言って、祝い事に水を差すことなんてことは出来ない。
久しぶりに会う彼女は、お腹が少しだけ大きかった。
会えて嬉しいと以前と変わらない笑顔で言われたら、やっぱり嬉しい。
待ち合わせたファミレスで、いろんなことを話してくれた。婚約者のことをたくさん。
写真を見たら、私のタイプではなかったので、なんだか安心したというか…女としての嫉妬心は薄らいでいった。
そんなことを思っているなんて、内緒なんだけどね。
むしろ、こんなにも美人の彼女にはもったいないとさえ思ってしまうぐらい。
自慢の親友だから…。
「子どもが出来た時、不安だった。でも彼は受け入れてくれて…」
その不安な時を知らない私。
もちろん、誰にも相談出来ることではないけれど、力になってあげられなかったことが悔しいというか…
実際には、やっぱりドラマや小説のようなものではない。
「これから大変ね」
「そうね。何もかもが初めてだから。でもこの子がいるから」
…既に母親の彼女。
私も血の繋がった姪っ子が可愛いから、気持ちは少しわかるかな。
「何か辛かったら、メールでもしてね」
頑張ってなんて言えない。
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