第一章 平穏

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オレたちは、ポルックスの村の港まで徒歩で向かい、そこから大陸オリオンの玄関口の一つである港町フォーマルハウトへの連絡船へと乗った。 そうそう、アリアの母アリエスは家に残るそうだ。 ――― ―― ― 港町フォーマルハウトに着いたのは、日が沈む間際、もう西の空が大分赤みを帯びてきている頃だった。 「す、すいま……せ、ん」 「気にするな。仕方ないさ」 「そうですよ。あまり気にしないで下さい」 オレは生まれて初めて乗った船という乗り物で酔ってしまい、もう一歩も歩けない状況だったので、 夜行馬車には乗らず、明日の早朝の出発にし、フォーマルハウトで一泊することにした。 (それにしても、船……か。 どうしよう、帰りもアレに乗らなきゃならないのか) と一人落ち込みつつ、オレは深い眠りに落ちていった。
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