第二章 背反

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翌朝、港町フォーマルハウトは、新鮮な魚介類を売りさばく漁師たちの喧騒に包まれていた。 行き交う人々の会話が耳に入って来る。 「本当さぁ! 昨日は大漁だったんだ!!」 「俺ぁ昨日こんなデケェ獲物を釣ったんだゼェ!?」 「ちょっとそこの旦那! 今が旬の魚が一杯だよ~! 一匹どうだい? 何なら私もつけちゃうよ!?」 明らかに最後におかしい文章が挿入されているが、実に穏やかで活気、笑顔に溢れている街である。 アリアは、そんな町中を散歩し、宿へと戻り、カストルのいる部屋の前で立ち止まった。 (カストル君、昨日はきちんと起きていましたのに、やはり、酔いがひどかったのでしょうか?) 部屋の中に入ると、スゥースゥーという規則正しい寝息が鳴っていた。 カストルはやはり、まだ寝ているらしい。 「もう、お寝坊さんですね」 寝ているカストルの寝顔を愛しそうに見つめながら、アリアは呟いた。 ――こんな穏やかな日常がずっと、ずっと続けばいい。 ……アリアは、カストルの寝顔を見ながらそう思っていた。
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