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翌朝、港町フォーマルハウトは、新鮮な魚介類を売りさばく漁師たちの喧騒に包まれていた。
行き交う人々の会話が耳に入って来る。
「本当さぁ!
昨日は大漁だったんだ!!」
「俺ぁ昨日こんなデケェ獲物を釣ったんだゼェ!?」
「ちょっとそこの旦那!
今が旬の魚が一杯だよ~!
一匹どうだい?
何なら私もつけちゃうよ!?」
明らかに最後におかしい文章が挿入されているが、実に穏やかで活気、笑顔に溢れている街である。
アリアは、そんな町中を散歩し、宿へと戻り、カストルのいる部屋の前で立ち止まった。
(カストル君、昨日はきちんと起きていましたのに、やはり、酔いがひどかったのでしょうか?)
部屋の中に入ると、スゥースゥーという規則正しい寝息が鳴っていた。
カストルはやはり、まだ寝ているらしい。
「もう、お寝坊さんですね」
寝ているカストルの寝顔を愛しそうに見つめながら、アリアは呟いた。
――こんな穏やかな日常がずっと、ずっと続けばいい。
……アリアは、カストルの寝顔を見ながらそう思っていた。
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