第二章 背反

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――――オレは、夢を見ていた。 真っ暗な空間……確認できる限りでは、オレしかいない。 「ここは……どこだ?」 不意に、そんな言葉が口から漏れた。 突如、漆黒に包まれた闇の空間を光が包み込む。 余りの光の強さに、オレの目は眩しさを感じ、反射的に目を瞑った。 徐々に光が収まっていくのを体で感じ、オレは恐る恐る目を開けていく。 何故、光が収まっていくのを感じられたのだろうか? それは、分からない。もはや、そんなことなど考えられないくらい、 オレは、ソレに魅入っていた。 ――――ドラゴン。 オレの前には、神々しき黄金色に輝く鱗に包まれた巨大な龍がいた。 その巨大な体躯にも驚いたが、オレが最も驚愕したのが…… 「……スゲー頭だな」 頭が一つではない。数えてみたが、八個もある。 注意して見ると、尾も頭と同じ数だけあるのが分かる。 驚きの余り、口をあんぐりと開けていると、龍がゆっくりと喋り始めた。
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