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「メグレズ……お前っ!!」
俺は、断崖の上に立つ真紅のローブを着た、策士に向かって吠える。
「……カストル・ムリフェイン……。
残念ながら、もう私はあなたには用はないの。
用があるのは──」
メグレズの指先が静かに動き、ある所で止まった。
「──あなたよ」
指が止まった場所……その指先の先に居たのは──
――ドゥーベ、だと?
「くっ、折角捕らえたドゥーベを、お前らに渡すわけにはいかない!」
次元刀を顕現し、正眼に構える。
それでもメグレズは、何をするわけでもなく、ただ断崖に立っているだけだ。
そのメグレズの口が静かに動く。
「誰が、ドゥーベを返せなんて言ったのかしら?
見当違いもいい所だわ!」
髪を掻き上げながら、鼻を鳴らしてメグレズが言う。
「なら、一体何が目的だってんだ!」
「……決まってるじゃない、使えない奴の末路なんて」
冷たい声で言い放つメグレズは、言葉とは裏腹に、背を向けて歩き出した。
俺は、メグレズの行動の意味が分からず、声を上げた。
「ま、待て!!
どこへ行く気だ! ドゥーベを連れて行くんじゃないのか!?」
「彼に処罰を与えるのは私の役目じゃないの……じゃあね」
そう言い残し、断崖からメグレズの姿は消えた。
俺は、メグレズの行動・言動を未だに解せていなかったが、とりあえず、無事にヴィルゴを助け出せたことに、今更ながら、安心していた。
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