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輝くシャンデリアと高価な装飾品に彩られた大広間には軽快な音楽が流れ、そこにいる誰もが楽しそうに笑顔を振りまいていました。
「私と踊っていただけませんか?」
何度も声をかけられたのですが、誘った相手の高貴な振る舞いを見れば見るほど自分とは別世界のように感じられ、何だか気後れしてしまったツンデレラはすべての誘いを断ってしまいました。
「やっぱり私にはこんなところは似合わない……」
小さく呟くと、その場から逃げるようにして人気のないバルコニーへと出て行きました。
バルコニーでは先ほどまでの音楽も喧騒も遥か遠くに感じられ、ツンデレラは眼下に広がる街並を静かに見下ろしました。
小さな家々の灯りが集まった、儚くも力強い街の明かりが今はひどく懐かしく思われました。
やっぱり自分には高貴な場など似合わない。
このまま帰って花より○子でも読んで、現代のシンデレラストーリーに浸っていようかな……
そう思い振り返ったツンデレラに、またしても声がかけられました。
「こんばんは」
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