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僕は元々写真が好きではなかった。
普段鏡で見るより少し歪んだ自分の姿。
人にどう見られているのかが嫌でも分かる。
自分の目に写る僕の姿と小さな世界に写し出された僕は,何故こんなにも違って見えるのだろう。
うーん…難しい…
考え方を少しずらしてみようかな。
僕が僕だと思っているだけで,実は別人だったりして。
双子の兄弟であったり,あるいは未来の僕だったり。
そう考えると写真も案外面白いかも。
僕が写っていると思うから気持ち悪くなるんだ。
いっそのこと全くの別人だと思えば…
僕はこっそりポケットに忍ばせておいた写真を取り出す。
ジーと見ているとだんだん視界がボヤケていくのが分かる。
うっすらと涙が滲む。目が乾いた。
あぁ…
なんだ…
よく見れば,やっぱりこの青年は僕なんかじゃないじゃないか。
だって僕はもっとこう,大雑把な顔なんだ。
こんなに整っていない。
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