&しゃ$し%ん#

4/29
前へ
/43ページ
次へ
僕は元々写真が好きではなかった。 普段鏡で見るより少し歪んだ自分の姿。 人にどう見られているのかが嫌でも分かる。 自分の目に写る僕の姿と小さな世界に写し出された僕は,何故こんなにも違って見えるのだろう。 うーん…難しい… 考え方を少しずらしてみようかな。 僕が僕だと思っているだけで,実は別人だったりして。 双子の兄弟であったり,あるいは未来の僕だったり。 そう考えると写真も案外面白いかも。 僕が写っていると思うから気持ち悪くなるんだ。 いっそのこと全くの別人だと思えば… 僕はこっそりポケットに忍ばせておいた写真を取り出す。 ジーと見ているとだんだん視界がボヤケていくのが分かる。 うっすらと涙が滲む。目が乾いた。 あぁ… なんだ… よく見れば,やっぱりこの青年は僕なんかじゃないじゃないか。   だって僕はもっとこう,大雑把な顔なんだ。 こんなに整っていない。  
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加