失。

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
君を失った八月。 絶望が私を襲った。 好きで、好きで、 堪らない君。 『嗚呼、終わったんだ』 そう、私は呟いた。 だけど、 思ったより私は餓鬼で、 現実を受け入れられなかった。 『何かの間違いだろう』 そう、知らず内に言い聞かせて、 『次の日には私の元に戻ってくる』 毎日考えてた。 倖田來未の、【愛のうた】を聴きながら。 狂ったように、 何度も思った。 『アレは夢』 『悪夢とは恐ろしい』 家を出ないで引き籠もり、 現実逃避が日課となった。 信じられない、 信じたくない、 御飯も食べず、 寝る事を好み、 只ひたすら、 君を想ってた。 夢を好んで、 自分が少し触れただけで 壊れそうになる躰。 毎日が地獄だった。 一緒に居た時間が長すぎる。 だからこそ、君が好き。 君を愛しい気持ちが膨らむ。 そう、今でも。 私は狂った。 そして、病気が私を襲う。 其れすらも私は、 受け入れられず、 今まで通り、 君を想って、 過ごしていた。 つもりだった。 私は改めて、 『自分は病気なんだ』と 実感した。 人間が怖く、 信用が怖く、 信頼が怖く、 家族も、親友も、友達も、 中々信頼出来ず、 今までの自分じゃないと、 思い知らされる。 嘘、裏切り、騙し、 初めて味わった。 愛しい君から。 『嗚呼、何て利用されやすいんだろう』 あれから、私は更に狂い始める。 そう、 君を想いすぎて。 失った代償が大きすぎた。 其れ以上に自分が恐ろしい。  (自分が一番、判っているはずなのに)  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!