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鉄棒を掴む。地面を蹴る。届かず、静止する。落ちる。可奈は小さくため息をついた。
華は昔からこうだった。気分屋で、色々なことに手を出すくせに、目標に達するまでは決して諦めない。しかし、それでできることもあれば、できないことだって必ずある。そんな時のストッパーとして、自分は機能していた。過程を見て、無理だと判断したら、止める。止まらない時は無視する。元来寂しがりやな華はそうなると諦めがつくのだ。今回もそれだ。きっと彼女は自分が止めない限り、あきらめない。
五回目の不時着を成功させたとき、可奈は口を開いた。
「もう無理だってば。私たち女の子だよ。元々腕力なんかないんだからさ。大車輪なんて遠すぎるよ」
腰を打ったのか、顔をしかめている華はそれを聞いて眉をひそめた。
「女の子だからっていうのは心外だよ。可奈、今はジェンダフリーの時代なの。男の子だって裁縫するご時世なんだから」
「……むぅ」
駄目だ。いつもはへらへらしてる柔女のくせに、こうなると華は強い。もっと別のところでその熱意を生かしな、っていつもいってるのに。例えば勉強とか。
可奈が華のために頭を割いていると、華は腰を摩りながら立ち上がり、言った。
「さぁ、次は可奈の番だよ。くるりっと回ってみせなさい」
「はい?」
ほらほら、と華は可奈を鉄棒の前に押し出し、回るよう促す。
「大体私制服だし。スカート履いてるんだよ? あんた私にパンツ見せびらかせろって?」
「ふむふむ。残念ながらあたしからすれば、可奈のことは御見通しなのだよ。パターン的に今日は……水玉とみた」
「へッ……!?」
ちらっ、と可奈は今日も模様を確認した。
……水玉。
「こ、この、へへへんたいッ!」
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