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機嫌を損ねたのか、華はぷぅーとその頬を膨らませた。不細工がやったら間違いなく殺気の嵐だが、残念、華は一般的にかわいいといわれる人種(女の子リサーチより)だ。
そんな彼女とともにいる可奈はそうでもないらしい(女の子リサーチより)。告白どころかラブレターすらもらったことがない。なんでも顔はいいのに、サバサバした性格が災いしているとかなんとか(女の子以下略)。
だが、別に興味もなかった。華みたいに皆から好き好き言われてもねー。最終的に一人に愛してもらえりゃいーや。楽観的に考え、腕を頭の後ろで組む。そこでやっと、華がじっと見つめていたことに気付いた。
「なに?」
「いやさー。可奈ってやっぱかわいいなって。モテないのがホント不思議」
言いながら見つめるその眼差しは妙に熱っぽい。もてもてのくせに彼氏ゼロの華が存在するのは、これがあるから。まったく。
「まーね」
「う、冷たい。こんなかあいー女の子が近くにいるんだから、テンションマックスになってもおかしくないのにー」
「ま、私、女の子だし」
しきりに腕を組もうとする華の顔面をガッ、と掴み、そのまま引き離す。むきになって闇雲に腕を振り回すガキっぽい華を、可奈は一瞥した。
「あんただってモテるんだから、さっさと男の一人でもゲットしてきなさいよ。まったく」
「だってさー」
華は可奈のアイアンクローに別に堪えた様子もなく、ケロッとした顔で言った。
「今が楽しいんだもん。別にいらないっしょ」
晴れやかな笑顔。まあ、確かにそうかもしれない。男の子の魅力をまだ感じないほどに幼い華だからかもしれないが、きっと彼女からすればこうやって笑い合っていたほうが好きなのだ。そこは確かに頷ける。
「だからって、引っ付くな」
「うへへ」
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