グッバイ、私達の平穏

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脳内お花畑で迷子になっていた二人を救出……したかは定かではないが、現実世界に引き戻したのは菊だった。 「ねぇ、あれって池田屋跡の石碑じゃない?」 「なぬっ!?」 「キタァァァー!!」 前方を指差して呟いた宮に明日香は食いつき、有希は絶叫した。 十メートルほど先の繁華街のビルに面して確かに石碑があり、現在地と地図を照らしてみても池田屋跡と見て間違いはないだろう。 そして二人が駆け出した途端―― 時が止まった。 周囲の音が一瞬にして消える。 先程まで通りを歩いていた人々は精巧に造られた人形のようにピクリとも動かない。 ただ、女子高生八人のみが――いや、女子高生八人だけがこの世界を生きているかの如く。
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