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「……完全に落ちてないから、俺はまだ何も言わないぞ。」 「え?何?」 晴也が小さい声で言ったから、悠人は聞こえなかった。 晴也は、もう一度言いたくないからか、口をかたく閉ざす。 「ちょ!何?何て言ったわけ?」 「言わない。聞かなかったお前が悪い。」 悠人の頬から手を離しながら、晴也は冷たく言い放つ。 むっと、悔しそうな顔を浮かべる悠人。 「けち!意地悪!馬鹿!あほ!」 「ボキャブラリー少ないな。」 「う、うるさい!」 晴也の言葉に更に悔しくなった悠人は、眉間に皺を寄せた。 それを見た晴也は溜め息を吐くと、悠人の眉間をつつく。 「眉間に皺寄せてんなよ。」 「……お前のせいだろ。」 悠人の言葉に、それもそうだと頷くと、晴也は意地悪く笑って言った。 「もっとお前が俺を落とそうとすれば……わかるかもな?」 「……ホント?」 たった一言で瞳を輝かせた悠人に、晴也は苦笑を浮かべる。 「嘘吐いても仕方ないだろ。」 「よし!頑張って晴也落とす!」 「……頑張れ。」 晴也は余裕の笑みを浮かべた。 悠人を可愛いと思ってしまう時点で、既に深い所まで落ちていることに気付きながら。  
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