さん

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悠人の前に、学校で使う数冊の問題集が置かれた。 それを見た悠人は、顔を青くする。 「ソレ、やれば点取れるから。わかんなくなったら聞け。」 「無理!こんなに出来ない!」 晴也の言葉に瞳を潤ませ、悠人は左右に大きく首を振る。 それを見た晴也は大きく溜め息を吐くと、冷たく言い放った。 「無理なら教えない。デートもなしだな。」 「やります、今すぐやります!」 素早くシャープペンを手にすると、悠人は早速問題に取り掛かる。 「そういえば……」 悠人はふと、思い出す。 「何処までやれば良いんだ?」 問題をやるやらないではなく、まずテスト範囲を把握していない悠人。 ぺらぺらとページを捲っていくと、十数ページいったところでページが折られていた。 端の方に何か書かれているのに気付き、悠人はソレを見た。 「テスト範囲ここまで」 晴也の字でそう書かれていた。 悠人は驚いて、彼の方を見た。 晴也は、黙々と勉強している。 「ありがと!」 「……気にすんな。」 悠人が笑みを浮かべて礼を言うと、晴也は少し照れくさそうに呟いた。  
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