さん

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  しばらくして、悠人は小さく手を上げた。ふとそれを見た晴也は、首を傾げる。 「何だ、その手。」 「わかんないので、教えてください。」 晴也は溜め息を吐くと悠人に近付き、彼がわからないという問題に目を通す。 「ああ……ここはな。」 そう言って説明を始めた晴也を悠人は見つめていた。 「かっこいい」とか「綺麗な顔してる」とか、説明に集中しろ、というツッコミが飛んできそうなことばかり、悠人の頭に浮かぶ。 「……って、おい。」 「い、たい!」 悠人に一発でこピンをお見舞いする晴也。 額を抑え、悠人は涙目になる。 「お前話聞けよ!わかんないんだろ?」 「……ごめんなさい。」 悠人はしゅんとなりながら、晴也を見つめた。 呆れたように悠人を見ながら、晴也は溜め息を吐いた。 「……テスト終わって、それなりの点数出せばデートなんだぞ?俺のことなんざ見放題だ。だから、今は我慢しろ、馬鹿。」 「……はい!」 びしっと敬礼する悠人を見て、晴也はふっと微笑む。 晴也は、悠人に頑張ってほしいと思っているのだ。 ほんの少し、デートを楽しみに思うから。  
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