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鏡の前で、悠人は自分の姿を眺めていた。
寝癖はないか、服はおかしくないか……などなど、かれこれ十数分はチェックしてる。
「……乙女かっての。」
「は、晴也!」
突然の声に驚きながら、悠人は声のした方を見た。
そこには、呆れた顔をした晴也が立っていた。
「の、覗くなよ!エッチ!」
「……誰がエッチだ?」
「……や、すみません。誰もエッチじゃありません。」
晴也に鋭い目で見られた悠人は怯えつつ、小さい声で言った。
晴也は、わかれば良いと言わんばかりに満足そうな表情を浮かべる。
「……Sめ。」
せめてもの対抗で、そう呟く悠人。
それを聞いた晴也は、ふっと鼻で笑う。
「今更だな。」
「……認めるんだ。」
「事実だからな。」
「あっさりしてるなあ。」
楽しそうに笑う悠人を見て、晴也は思わず微笑みを浮かべた。
ふと、相手のペースに引き込まれていると気付くと、晴也は咳払いをした。
「ところで、お前はいつまで鏡見てるんだ?デート、行かないのか?」
「え、あ、そうだな!行こう!」
晴也の言葉に照れくさそうに笑いながら、悠人は言った。
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