26人が本棚に入れています
本棚に追加
晴也は、はっとして言葉を紡ぐのを止めた。
「……何?」
「いや、何でもない。」
見つめてくる悠人から、顔を逸らす晴也。微かに頬が赤く染まっているのは、きっと気のせいではない。
晴也は思ったのだ。ジェットコースターが苦手だということが恥ずかしいと思った悠人を、「可愛い」と。
「気になるじゃん!何か言おうとしてたじゃん!」
悠人の言葉に、少々むっとする晴也。
「うるせーな!気分悪いなら大人しくしてろ、馬鹿!」
そう言うと、晴也は悠人から離れていってしまう。
「ちょ、待って……!」
悠人はついていこうと立ち上がり、晴也の行った方へ進む。
すると誰かとぶつかって、「べちょ」という何かが潰れたような音がした。
「すみません!」
悠人はぶつかった相手に口早に謝ると、晴也を追いかけようとした。
が、腕を掴まれて行くことが出来なかった。
「おいおい。ぶつかっといて、その態度はねえだろ。」
声のした方に目を向けると、少し怖い顔をしたお兄さん。
「それに服まで汚れたしなあ?」
顔から下の方へと視線を移すとアイスがべっとりと、怖い顔のお兄さんの服についていた。
悠人の顔が、青くなった。
最初のコメントを投稿しよう!