2560人が本棚に入れています
本棚に追加
花壇の手入れも終わり、帰り支度をする為に教室へと続く道のりを俺は歩いていた。
するといつもの如く、周りの生徒の囁きが耳に届いてきた。
「ほら、藤原君よ。また喧嘩したらしいわよ。」
「しかも相手も本人も全くの無傷で相手を瞬殺したって。」
「相手一年だろ?馬鹿だよなぁ、あの《不死身の黒アリス》に手出すなんて…。」
「しっ!そんな大声で言ったら俺達も目をつけられて殺られるぞ!?」
……だから殺しません。
俺は小さく溜め息を吐き、中傷めいた言葉を囁く生徒達の方をちらりと横目で一瞥する。
「ひ………っ!!」
「いやぁっ!!」
「助けてぇっ!!」
そんな俺の視線に周りの生徒が気付くと途端に顔が青ざめ、次々に悲鳴を上げてその場を走り去っていった。
俺、見ただけなのに…。
やっぱりこの目つきの所為で睨んだと思われたのかな……。
誰もいなくなった廊下にただ1人取り残された俺は、また小さく溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!