◇wonder-one◇

4/21
前へ
/140ページ
次へ
      花壇の手入れも終わり、帰り支度をする為に教室へと続く道のりを俺は歩いていた。 するといつもの如く、周りの生徒の囁きが耳に届いてきた。 「ほら、藤原君よ。また喧嘩したらしいわよ。」 「しかも相手も本人も全くの無傷で相手を瞬殺したって。」 「相手一年だろ?馬鹿だよなぁ、あの《不死身の黒アリス》に手出すなんて…。」 「しっ!そんな大声で言ったら俺達も目をつけられて殺られるぞ!?」 ……だから殺しません。 俺は小さく溜め息を吐き、中傷めいた言葉を囁く生徒達の方をちらりと横目で一瞥する。 「ひ………っ!!」 「いやぁっ!!」 「助けてぇっ!!」 そんな俺の視線に周りの生徒が気付くと途端に顔が青ざめ、次々に悲鳴を上げてその場を走り去っていった。 俺、見ただけなのに…。 やっぱりこの目つきの所為で睨んだと思われたのかな……。 誰もいなくなった廊下にただ1人取り残された俺は、また小さく溜め息を吐いた。  
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2560人が本棚に入れています
本棚に追加