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「…お兄、ちゃん……。」
「へっ?」
「…みたいだった、から…。俺、お兄ちゃんって…欲しかった、から……。」
いつの間にか無意識に俺は思っていた事を口にしていたらしい。突然の俺の発言に瀧哉は目を丸くして此方を見つめてきている。俺は羞恥を隠す為に慌てて弁解を始めた。
「ははっ、有鈴の兄貴かぁ。楽しそうだけど立場的に俺は有鈴の弟が良いな。」
「…何、で弟……?」
「さぁ、何でだろうな?なぁ計兎。」
「は?何でお…僕に聞くのさ。ていうか瀧哉と兄弟とか考えられないんだけど。」
「いや、俺も計兎と兄弟にはなりたくないな。」
「は?訳分かんないんだけど…。」
「良いんだよ、訳分からなくて。」
『??』
瀧哉はそう言って、何とも意味深な笑みを浮かべてそれ以上言わなくなった。俺と計兎は不可解な瀧哉の言葉に、顔を見合わせながら脳裏に疑問符を浮かべていた。
「まぁそれは別に置いといて、あー!さっき橘君が何気なく言ってたけど保険医の長江 修慈と知り合いなの!?てかいつ会ったのっ!?」
急に話題転換した計兎はぐっと俺の両腕を掴みながら詰め寄ってきた。俺はその突然の行動に驚きながらも説明を始める。
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