星の願い

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マナが彼と出会ったのは高校二年生の夏だった。 出会いは友達の紹介というベタなものだったが、マナは今までにない衝撃を受けた。 お世辞にも、カッコイイとは言えないが、照れたように笑う彼にマナは胸がときめいた。 いわゆる一目惚れだった。 後で彼に聞いてみたら、彼も一目惚れだったと聞いてマナは嬉しかった。 彼と付き合いだして、毎日が楽しくなった。 彼は、よく星の話をしてくれた。 『ほら。アレが北斗七星だよ』 夜空に光る星を指差しながら彼は楽しそうに言う。 『ひしゃくの柄から順番に、アルカイド、ミザル、アリオド…………どうしたの?』 星の名前を順番に教えてくれていた彼は、横でクスクスと笑うマナを不思議に思い問い掛けた。 『あ、いや別に』 マナは問われ、急いで笑いを堪えた。 怒るかと思ったが、予想に反して彼は、申し訳ないような、照れたような笑みを浮かべていた。 『やっぱり男が星好きなのは変かな?』 『そんなことないよ!』 マナは慌てて首を振り、否定した。 そして『ただね……』と苦笑しながら言う。 『似合うなーって思って……』 マナは、ほほ笑みながら彼を見る。 彼は耳まで真っ赤になっていた。 素朴で、優しい笑みが似合う彼。 そんな彼は花や星がよく似合っていた。 マナは、そんな彼が大好きだった。 『ねぇ、人は死んだら星になるって本当かな』 再び空を見ながら今度はマナが問い掛ける。 彼も同じく空を再び見上げ『そうだねぇ……』と呟いた。 『きっと空から残された愛すべき人の幸せを願って、その人が闇に迷わないように光り輝いてるんじゃないかな』 彼は優しく微笑みながら言う。 『ロマンチストね』 マナはクスクスと笑いながら彼を見た。 彼も顔を少し赤くして照れたように『そうかもね』と笑った。 この幸せは一生続くものと信じていた。
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