便利屋開店!

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昔、よく依頼してきた女がいた。 チワワみたいに目がギョロっとしていて、細身の女だ。 こいつがタチが悪くて、いつもトシにちょっかいを出していた。 その度にキョウコはヒステリックになり、大変だった。 俺達のテーブルの向かい側に女は座った。 キョウコが三人分のコーヒーを入れて持ってきた。 キョウコは俺達の身の回りの世話を、よくしてくれる。 料理を作ったり、掃除から洗濯までやってくれる。 普通、あの性格だとやらないと思うが、トシのいい女房になるだろう。 「今日はどういったご用件でしょうか?」 トシが営業スマイルよろしく聞いた。 女は下を向いていたが、鞄を膝の上に置くと、中から一枚の写真を取り出し机の上に置いた。 「この写真の人を調べてほしいんです」 どうやら写真の男はフィアンセらしい。 結婚する前に、この男の事を裏の裏まで知りたいらしい。 こいつ、かわいい顔しているが、抜目ない。 こういう女に男は騙されるわけだ。 「わかりました。とりあえず一週間、この人の行動を調べさせてもらいます」 女が頷く。 「一週間後にご報告させていただいて、まだご不満があれば延長させていただく。という形で進めさせていただいてよろしいですか?」 「はい。それで結構です。それでは一週間後にまた伺わせていただきます」 そう言うと、女は男の名前、住所、勤め先などを書き、引き上げていった。
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