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そう。
もう、俺は抜けられない。
だから。
兄貴の墓参りには行かない。
こんな、人殺しの顔した弟、嫌だろ?
俺は部屋にある大きな鏡の前に立つ。
生気のない顔。
まるで、死者みたいな。
目だけは、ギラギラと光って。
常に殺気を帯びている。
手も、血で汚れている。
いくら洗ってみても、見た目は綺麗になっても。
取れることはない穢れ。
体も、何もかも。
汚された。
汚した。
…俺は、変わってしまった。
「…行かないのか。」
背後から、声がした。
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