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開いた扉の先に、暗鬼が立っている。
俺は、暗鬼の方へ向き直る。
「何処に?」
俺は自嘲気味に聞いた。
「…墓にだ。」
「行くわけないだろ。」
俺は即答する。
「こんな顔で、こんな体で、…行ける訳がない。」
暗鬼はフッと笑う。
「早く着替えろ。
部下が来る。」
暗鬼はそれだけ言うと、扉を閉めた。
俺は暗鬼に言われたとおり着替え、部屋を出る。
ずっと続くと思ってしまうような、長い灰色の廊下。
そこを抜けると、下の階にいる暗鬼の部下全員を見下ろせる、吹き抜けのフロアに出る。
暗鬼はいつもこの場所から、部下達に指示を出す。
そして、部下達はその通りに動く。
…暗鬼の、忠実な駒達だ。
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