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 自分は、大好きな二人を困らせてしまっているのか。  そう思うと胸の奥が小さく痛んで顔を俯かせてしまう。床に届かない足を宙に何度も揺らして無言の遊びを始める。 「わかったよ、ソフィア」  だが、耳に飛び込んできたのは我儘を言った自分を宥める声ではなく、承諾する声だった。予想しなかった答えにソフィアの顔が勢いよく顔を上げた。母と同い年であるはずなのに母よりも幾分か老けて見える父の口元に皺が寄り、笑顔が浮かべられている事に気付く。 「ソフィアももうじき教会学校に通う歳だ。そろそろ絵本から卒業したいんだろう?」 「うん! 早くおっきくなってパパやママみたいになるのー!」 「そうかそうか。じゃあ、今日の午後は一緒に買物に行こうか」 「ママもパパもいっしょ?」 「ああ、一緒だ。三人で出かけるぞ」  久方振りの家族揃っての外出。  その事に、ソフィアの青い目は今日一日が楽しい事である事への期待と、父母と触れ合える機会に恵まれた幸福に輝いていた。  
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