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 そして買物の結果、誕生日プレゼントとして彼女に与えられたのは児童向けに出版された魔術の基本書であった。その書物に記されているのは呪文ではなく、その題名通り、魔術の基本について理論立てて述べられている。しかしそこは児童向け。分かりやすく記されているのがポイントなのだ。  両親としては、彼女が教会学校に通うようになってから買い与えたいと考えていたのだが、予想よりも早く当人が所望した為、彼らは他にも書物を用意した。それには、普段なかなか彼女に構ってやれない事への罪悪感もあったのかもしれない。  「おまけだよ」と言って彼らがソフィアに手渡したのはこれまた児童向けの辞典。分からない言葉はこれで調べるようにという父母のアドバイスの後、彼女はそれらを両手で強く抱き締めた。  これで両親に一歩近付けただろうか。絵本とは違う書物を手にした事で彼女の気持ちは高揚し、胸中は父母への感謝で満たされる。 「ありがとう、パパ! ママ!」  心からのとびきりの笑顔で礼を述べれば、両親もまたつられるように破顔してみせたのだった。  それが、彼女が得た最初の喜び。  
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