闇の底にて

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念のために兄の携帯電話に掛け直してみたが、電源が切られているか、電波の届かないところに……というメッセージが流れるのみで、つながらなかった。 外出先で、電池が切れたのかもしれない。 そう思うと、わたしの携帯ではなく、家の固定電話に掛けてきた理由も説明がつく。 兄は家の電話番号は覚えていても、わたしの携帯の番号は覚えていないのだろう。 不自然な状況なだけに、逆に重要な用件なんじゃないかと思えてきた。 そう、たぶん以前、兄と話をした大事な用事を済ませるときが来たんだろう。 わたしは、子どもたちを普段より早い時間にお風呂に入れ、寝かしつけることにした。
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