闇の底にて

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そのつもりで待っていると、なかなか電車はやって来ない。 まだ、終電の時刻を過ぎてはいないはずだが……。 今頃の時間、電車がどれぐらいの間隔で走っているのかよく分からない。 ずいぶん時間が経った気がする。 わたしは電車が接近するときの線路を伝わる振動音を聞き逃すまいと、耳に神経を集中させていた。 だから、気がつかなかった。 公園の入口から、男が入ってきたことに。
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