闇の底にて

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男はなおも近づいてくる。 もう、手を伸ばせば届くほどの距離だ。 「兄さんなの?」 わたしは声をかけた。 そのとき、高架の上を列車が音を立てて通過していった。 列車の明かりに照らされ、男の顔が露わになった。 男の左目の横には大きな傷跡があった。
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