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「すみません。そろそろアポの時間なんで」
わたしはまだ話したそうにしている祥子の顔の前でリーフレットの束を振って見せ、支部をあとにした。
顧客先に向かう車の中で、大祐が逮捕されたときのことを思い出していた。
始まりは一台のパトカーだった。
大祐の留守に突然やって来たパトカーに警察署まで連れて行かれた。
そして、訊かれた、大祐のことを。
ここ数ヵ月、様子がおかしくなかったか?
大金を持ち出すことはなかったか?
不審な電話を受けたことはなかったか?
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