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「ふ~ん……。パパとお父さんの色は分かるけど、ママ達のは何で赤?あれって黄色が混じってるでしょ?」
「ええ、チベットメノウよ。ぴったりの石を探すのに苦労したんだから。」
くすくす笑うシルビアに首を傾げるセフィーナ。
「ほら、シルビアの愛って激しいでしょ?それに好奇心の塊ですもの。だから情熱の赤に好奇心の黄色が入ったあの石にしたのよ。」
パールヴァティーに言われて納得する娘。
シルビアの激しさと好奇心の旺盛さは良く知っている。
「そっか~。じゃあ、これはお父さんから愛娘への愛の証し?」
胸元に光るアウイナイトをいじりながら笑ってセフィーナが言った。
「んー、納得いかないわよね。夫婦愛と一緒にするなんて。」
「ええ。いくら娘でもこの石を贈るのはちょっとね。」
何かあるのではとネックレスを見つめる。
「あっ、何このまがまがしい念は!」
触れた瞬間叫ぶシルビア。
自分も手にして驚くパールヴァティー。
「セフィーナ、これ外しなさいね。」
「どうして?これ着けて恋愛を楽しもうと思ってたのに。」
「だからよ。娘が可愛いからって邪魔する気なのよ、まったく。」
「どういう事?」
「お父さんが破壊の念を入れてるの。貴女の恋愛が成就しないように。」
母親二人がため息をついていた。
「え~、ひど~い。やっと恋愛解禁なのに~。彼氏できないじゃないのよ~。」
大学を卒業するまで禁止されていた男女交際。
気になる男の子はいたけれど、立派な女神になる為だと自分に言い聞かせて頑張ってきた。
それなのにこの仕打ちだ。
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