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無意識のうちにポケットにねじ込んだ生徒手帳の感触を確かめてしまう。
こいつらに生徒手帳の説明をするってことは、狭間先輩の話も当然しなくてはならない。
それは全身に生肉を巻いてサファリパークを闊歩するくらい危険な行為なのだ。
「まっ、まぁ、僕の悩みなんて横に置いておこうじゃないか。 それよりも近年の環境問題について語り合おうじゃないか。 僕はやはり化石燃料の使用頻度を減らすべきだと思うんだ!」
無理矢理すぎる話の切り替えに未由は呆れ果て、哀れなものを見るような瞳で俺を冷たく見つめている。
ふんっ、別に慣れてるから良いもんね!
「良くぞ言ったのだ純也!」
『はい?』と首を傾げながら栗林兄妹は声を揃えてお嬢様に視線を移す。
なにやら森羅は感心したと言わんばかりに両腕を組み、うんうんと頷いている。
「近年の地球温暖化は大変深刻な問題なのだ。 霧島財閥でも『環境』を重視する声は多い。 自身も関心を持つ事柄であったが、まさか純也も興味深く考えておるとは……私と純也がおりなす霧島財閥の未来は明るいのだ!」
……とりあえず、霧島森羅という奴がどれほどのバカかは再認識できた。
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