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「ねぇ、お兄ちゃん、私前から思ってたんだけど……森羅さんって霧島財閥のお嬢様だけど実は相当なバ、」
致命的な発言をする未由の口に素早く手を添え、聖母のように慈悲深い表情を浮かべたまま静かに頷く。
「言うな未由。 森羅のためを思うなら黙っていることも幼馴染みには必要なんだぜ」
「そっか……そうだよね、どれだけ頭のネジが緩んでいても私たちは味方だもんね!」
「あぁ、その通りだ。 未由、この後俺たちが森羅のためにすべきこともわかっているよな?」
「……うん、もちろんっす」
未由の熱く潤んだ瞳と俺の瞳が視線を結び、そして静かに互いの意志を確認する。
俺と未由は環境問題について熱弁を一人で振るう森羅を置き去りにして、そそくさと学校へと向かう。
「お兄ちゃん、私たちって親切で優しすぎかな?」
「ふふ、そうだな……これからも思いやりをもって行動しような!」
「うん!」
背後で瞳をキラキラさせながら独り言に没頭する森羅には悪いが、バカなお嬢様のお陰で未由の頭からはため息の理由を追求する一件は消え去ってくれたようだ。
さて、後は怒り狂った森羅に怒鳴り散らされる前に哲にでも相談っすかな……はぁ~~鬱だぜ。
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