6人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
大学最後の夏が終わろうとしている――。
「あちーっ。」
「ほんと、こんな中スーツなんて着てらんないよね。」
大学4年のこの時期、文系である私達はほとんど授業もなく(順調に単位を取得した人は…ね)、卒論に頭を悩ませながらも、重役出勤ならぬ、重役登校。
正門前のバス停から広い広い敷地を炎天下の中歩き、ようやく学食というオアシスにたどり着いた。
「尚子は早かったもんねー。一番じゃなかった?」
「そうだっけ?まぁ、確かに早かったね。ゴールデンウィークには遊べたから。」
そう。みんなが就活で苦戦を強いられている中、私、藤堂 尚子は一番に内定を手に入れたのだ。
大学生活最後を満喫するため、速攻で就活を終えた。
あ、でも妥協したわけじゃなくて、ちゃんと吟味はしたよ、一応。
そして、同じく学食でへばってるもう一人。井上 志保もつい先日見事内定獲得。
.
最初のコメントを投稿しよう!