いつもの仲間

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大学最後の夏が終わろうとしている――。 「あちーっ。」 「ほんと、こんな中スーツなんて着てらんないよね。」 大学4年のこの時期、文系である私達はほとんど授業もなく(順調に単位を取得した人は…ね)、卒論に頭を悩ませながらも、重役出勤ならぬ、重役登校。 正門前のバス停から広い広い敷地を炎天下の中歩き、ようやく学食というオアシスにたどり着いた。 「尚子は早かったもんねー。一番じゃなかった?」 「そうだっけ?まぁ、確かに早かったね。ゴールデンウィークには遊べたから。」 そう。みんなが就活で苦戦を強いられている中、私、藤堂 尚子は一番に内定を手に入れたのだ。 大学生活最後を満喫するため、速攻で就活を終えた。 あ、でも妥協したわけじゃなくて、ちゃんと吟味はしたよ、一応。 そして、同じく学食でへばってるもう一人。井上 志保もつい先日見事内定獲得。 .
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