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バン!というドアが開く音と一緒に上手く引き抜いて上へ上へと積み上げられたジェンガが崩れていった。
ちなみに、まだ一回も崩れていなかった。
私の努力が、栄光の証が、呆気なく崩れた……。
「何泣いてるの?」
唯が心配そうに話し掛けてくれたが、テーブルに散らばる残骸を見て全てを理解してくれたようだった。
唯に続いて遥菜、佑奈も見た。
遥菜はブッ!と勢いよく吹いて、佑奈は哀れみの目で見ている。
「あははははっ!!一人でジェンガっ!!寂しい奴!!」
「笑うな遥菜……!お前らがいないから暇潰しにやってたんだよ!」
「何だよ!せっかく服とか色々買ってきてやったのに!」
「なんでキレるんだよ!?」
「黙れ男女(おとこおんな)!!」
遥菜の言い放ったそれは、現実に引き戻されるような言葉だった。
そうだ、私は今、体は男なんだよな……。
「まあまあ。男になっても天は天でしょ?」
「唯……」
「ほら、早く着替えて。窮屈でしょ?」
そう言って手に持ってた袋を差し出してきた唯。
これには服が入ってるのか。どうやらジャージみたいだ。
見た感じ大きそうだ。まあ、当たり前だけど。
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