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「きりーつ。礼ー」
嗚呼、ついに来てしまったのか。今日が私の命日かな。
授業はやらないと言っていたのに、たっちゃんは手ぶらじゃなかった。
前に教科書は必須アイテムだとか言っていたから持ってきているのはわかるけど、なんでどっさりとプリントを持ってきてるんだ?
「せんせぇー、そのプリント何ー?」
「これか?一応テスト期間だからなー。時間が余ったら配ろうかと思ってさ。なーに、やりたくないなら余らせなければいいんだよ。あ・ま・ら・せ・な・け・れ・ばっ!」
ニヤッと笑って私を見る。
こいつ、私がじっくり話をするための道具を持ってきやがったのか?
何て言ったって、そのプリントを一番やりたくないと思っているのは他ならぬ、数学が大の苦手な私だからな……これは、なかなか辛い。と言っても、長話出来るほど何も起きてないんだが。
「さあさあ!主役は前にどうぞ!」
教卓の近くにあるパイプ椅子をセットして、私に手招きをしている。
もう逃げ場なんてない。ならば立ち向かうまで!
私がそこに座ると、たっちゃんは私の席に座った。
「さてさてさてさて。どんどんいってみよー!」
それを合図に、みんなが手を挙げた。
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