206人が本棚に入れています
本棚に追加
「天ぁぁぁぁ!なんだ今のはぁぁぁぁ!!?」
もうわかるだろ?
遥菜だ。
ツリ目を更に吊り上げて、私を指差してる。
肩にかかるかかからないかくらいの長さの短い髪が震えているようにも見える。
どうせ『今のお前は男なんだから手加減しろ』とか言うんだろうな────
「極りすぎ!!かっこよすぎる!!」
「そっちかよッ!」
ヨソウガイです。
遥菜でも素直に凄いって思ってくれたんだろうか?
佑奈も予想外だったのか、微笑じゃなくて、本当に笑ってる。
「あはは。珍しいね……遥菜が褒めてるよ」
「褒めてるのか?」
「うん」
佑奈の視線を辿っていくと、唯に何か言われて顔を真っ赤にして反論している遥菜がいる。
それと褒めてるってのと、何が関係あるんだ?
まあ、かっこいいとは言っていたが……。
そういえば、これおかしくないか?
女子の試合なのに私がいていいのか?
……ま、いっか。先生も何も言ってなかったみたいだし。
「試合再開するよー!!」
あ、忘れてた。しかも次のサーブは私かよ!
サーブが一番苦手な私。ちゃんと入ったことなんて、五回に一回くらい。
さっきのスパイクみたいなことが起きるわけないし。
「……はぁ。もういいや」
半ばヤケクソでサーブを打った。
当然アウトだったけどな。
その後は特にトラブルもなく、順調に進んでいったのでした。
最初のコメントを投稿しよう!