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天と唯の様子を、箸を止めて見ていた遥菜。
佑奈はずっとのんびり食べながら見守っていた。
ふと、遥菜がピクッと片眉を動かした。
その目から伺えるのは、疑い。何か閃いたようにも見える。
「もしかしてお前ら、昨日の夜……本当は何かあったんじゃないの?」
遥菜のそれで、天の咳は更に酷くなった。
唯は天の背中を撫でたまま、きょとんとしていた。『何が?』とでも言うような表情。
それを見ていた者が、いた。
「何何ー!?やっぱり唯ちゃんと天くん、あーんなことやこーんなことをしちゃったのー!?」
クラスメイト。しかも、またあの秋山だ。
好奇心の塊のようで、身を乗り出して話を聞こうとしていた。
その秋山につられて、他のクラスメイトが四人に押し掛けてきた。
その状況に驚いてか、天の咳はやっと止まった。それと同時に、息も止まった。
「……う゛っ」
バタンッと椅子から崩れ落ちた。
教室が一瞬だけ静まり、唯の叫びが響いたのだった。
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