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時刻は、6時ちょっと過ぎか。
良かった、まだ食堂が開いてないから、おそらくみんな自分の部屋にいるだろう。
一人の時にあまり関わりがない誰かと鉢合わせするのは嫌だから、心底安心している。
こうして階段を登っている今、自分の足音以外何も聞こえない。嗚呼、良かった。
漸く四階に辿り着き(言い忘れていたが、私達の部屋は四階にある)、自室の前まで来た。階段の近くにあるからこういう時は楽だ。
やっと、やっと……やっっと部屋に入れる、休めるんだ。嗚呼、長かった。今日一日、ひどく長かったよ。
さあ、今、安らぎの我が部屋へ……。
「ただいま────」
「あっ。お帰り、天」
「遅かったな」
「お邪魔してるよ」
「……あ?」
なんで遥菜と佑奈がいんの?
「ほら、来週からテストでしょ?天を待つついでに勉強してたんだよ。あっ、お茶淹れるね」
私の心の声を聞き取ったのか。唯が説明してくれた。
なるほど。よく見るとテーブルに数学やら英語やら、参考書みたいなのとノートがある。
実はこの三人、成績上位者に必ず入っている秀才。
唯は主に現代文などの文系に、遥菜は主に数学などの理系に、そして佑奈は全体的に。
……私?
ハハハ、赤点じゃないだけいいよ。数学は別だけど。
あ、でも、生物は得意だ。生物だけは80点以下を取ったことがない。
生物だけ、ね。英語もまあまあ。
「テスト、ねぇ」
「お前、忘れてたのか?」
「いや、ちゃんと覚えてるけど、私には関係ないなぁと」
「お!お!あ!り!だッ!」
相変わらず過激な遥菜さん。
分厚い参考書で私の頭を殴った。
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