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「──ら……そら……」
この声は、唯か。私を呼んでる。
ということは、もう朝か?
重い瞼を開けて見ると、確かに唯がいた。すっごい近くに。
ってか本当に近い。しかも、私に跨がって……。
あれ?これから学校に行く割には随分ラフな格好だ。
制服は着てるんだけど、リボンをしないでボタンを真ん中くらいまで開けてる。
頬を染めて、潤んだ瞳で私をじっと見てる。
……どういうこと?
「ゆ、唯……?」
「おはよう、天」
「お、おはよう」
どうしたんだ唯。なんでそんな目で私を見てるんだ。
つうかなんで上に乗ってんの?動けない。
何て朝だ。
この空気、耐えられない。
「ねぇ、天。私、言ったよね?」
「な、何を?」
「我慢出来なくなったら言って、って」
何だその言い草。
あれか、男性でよくあるらしい、あの、えっと、そ、そういう現象が、起きてるのか?まさか、まさかそうなの?
でもあれって、生理現象じゃないのか?我慢どうこうではないんじゃあ……。
まずい。唯の顔が近づいてくる。
「ゆ、ゆっ、唯っ。一体何が起きて……」
「大丈夫。私に任せて。ね?」
「いやいやいやいや、『ね?』じゃないよ。って、ちょっ……!」
唯の手が、私のTシャツを捲り上げる。
更に唯の顔が私の顔の横に行き、囁く。
吐息が耳にかかる。
「しょうがないよ。だって天は、男の子なんだから」
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