206人が本棚に入れています
本棚に追加
「それにしても……」
「ん?……んぐおっ!!?」
今度は正面からギュッと抱きつかれ、一瞬息が止まる。
本当にギューッて、ギュウウウッてなってる。どうしたんだ急に!
「あ~、細くてちょっと固いけど、抱き心地いいわぁ……」
おいおい、語尾にハートマークが付いてるような声ですよう?
まだ寝惚けてるのか?
つか……、
「はーなーれーろー!!」
「なんで?いいでしょー女の子同士なんだしぃ……」
女の子同士って言ったってなぁ、今の私は男だ!
そりゃあ心は女だろうけどさ!
「ふにゃあ、あったかーい……寝れる」
「寝るなぁぁ!!唯っ!マジで離れろ!」
「だからなんで?」
「暑苦しい!」
「まあまあ~」
「はぁーなぁーれぇーろぉー!!」
唯の肩を掴んで押し剥がそうとしてみるが、一向に離れる気配なし。
更に強く押してみても、やっぱり離れようとしない。
意地になって、もっともっと強く押してみる。
テーブルの近くで暴れたのが間違いだった。
足をテーブルの脚に引っ掛けてしまい、そのまま倒れた。
唯は抱きついたまま。このまま倒れると唯が潰れる!!
咄嗟に手を出した。しかし、それも間違いか?
「うわっ!?」
「あっ……!」
唯は手を離して床に落ちて、私を見上げる。私は床に手をついて、唯を見下げる。
これは俗に言う、押し倒した、ってヤツ?
段々唯の頬が赤に染まっていくように見える。照れてる?押し倒した相手が見た目は女じゃなくて男だから?
いや、こういう時、相手が女でも照れる奴はいるかな。
嗚呼、なんてベタな展開なんだろうか……と思いつつ、私まで恥ずかしくなってきた。
「ご、ごめ……」
「唯~、天~?どうかした~?」
最初のコメントを投稿しよう!